コラム

CMO交代で起きる残念なこと

CMOやマーケティング責任者の交代を経験した方もそうでない方も、CMOが交代すると起きる可能性が高い残念なことについて私の個人的な見解を述べたいと思います。

交代の原因が、不可避(健康上の理由など)の場合であれ、業績不振による引責退任交代であれ、より良いオファーへの転職を決めたために空席となっていたポジションに新たに着任したのであれ、マーケティング組織のトップが変わると、残念なことが発生ことがあります。

その1

ブランドを刷新する。

特にブランド構築あるいはクリエイティブのバックグランドのCMOだと起きる可能性が高いです。

たとえ、現行のブランドアセット(メッセージやキービジュアルなど)がそれなりに浸透し、ブランドエクイティを構築していたとしても、ここにメスを入れようとする着任したばかりのCMOは多いと思います。

何故か。

ブランドの刷新は他のCxO陣との連携、主要な社内外のメンバーを巻き込むことになるので、ここで関係各位とガッツリ関係を築き、時間もお金も必要とするブランド刷新の陣頭指揮を取ることで、CMOとしての圧倒的なプレゼンスを早い段階で構築できるからです。

ただ、着任して早々にここにメスを入れる場合、事業の骨幹の数字や組織を誰が動かしているかなど、地味だが重要なことをしっかりと理解する時間が奪われることになる可能性があります。

着任後、半年の間ブランド刷新のあれやこれをやっているうちに、事業環境が変化しているなんてことも。

着任後、しっかり数字の理解や組織のエコシステムを愚直に理解する時間を使っていない場合、そこからの巻き返しはかなりしんどくなり、目先の事業改善を焦って行う(往々にして方向性が違っている)ことになりかねません・・・

その2

付き合う代理店を刷新する。

これもCMO交代あるあるですね。

B2Bビジネスが顧客満足度という黄金のルール以外のところで、最も簡単に動く理由にもなりますね・・・ヒヤヒヤです。

既存の代理店は新CMOのプロトコル、性格、嗜好、思考をいち早く理解し、なんとか擦り寄ろうとしますが、多くの場合、新CMOは古巣の関係を持ち込んできます。

本当にベストパートナーであって、新しい自分の城でもその関係で仕事をしたいという場合もあるので、一概に弊害ばかりではないものの、代理店交代も社内関係者、特にメンバーのリソースを使い、想像以上の負担を強いることになります。

着任して、すぐに代理店を変えるということは、過去の否定にもつながりますので、メンバー含め、不信感を醸成する覚悟で実施すべきでしょう。

過去を否定することで、自分の期待値調整をしたくなるものですが、これが露骨だと確実にメンバーはついてこないでしょう。

その3

新しいポジションをやたら設定し、採用する。

これも、過去の否定からの期待値調整の一環ですが、本当に必要なポジションが採用できていない組織に着任することもあるので、(ほぼそうかもしれませんね)これは、大事なことではありますが、やり方を間違えると、採用した分と同じ退職者を生むことになります。

CMOだって人間です。寂しい、不安、恐怖。。。新しい組織でのプレシャーも相当でしょう。自分の圧倒的な味方でいてくれる部下、メンバーが欲しいものです。

どうしても前からいるメンバーは前CMOと比較してきます。

その比較に耐えることが出来ず、主要なポジションを新規採用で入れ替える。

まあ、お気持ちはわかりますが、これも、不信感を残します。

割り切って、人をバッサリ入れ替え、結果を出せば、文句を陰で言う人なんていなくなるので、気にせず、進むのもありではありますので、一概に否定はできないですが。

ただ、着任後、早いタイミングで、「人が足りてない!」息巻く新CMOは多くの場合、自信がなく成果を他力で出したい思考の持ち主である可能性が非常に高いです。

その場合は、結局、自分で採用したメンバーにもどこかで烙印を押されることになるでしょう。

いかがですか?

ブランド刷新、代理店刷新、新ポジションの採用加速

この3つを矢継ぎ早に実施する新CMOは黄色信号の可能性が高いです。

そんなCMOが着任したら。。。

やり過ごす、自分の成長に必要な仕事かつ組織に意味がある仕事に邁進する。

くらいしかないです。

転職の準備だけは常にしておいた方がいいですが!